弁護士の北村です。
皆さんの中には,弁護士について「依頼者の言う通りに行動する」「依頼者の利益のためなら何でもする」というイメージをお持ちの方も多いかもしれません。しかし,私はそれは正確ではないと思っています。
弁護士は,西欧では伝統的に,医師や聖職者と並んで「プロフェッション」と呼ばれてきたと聞きます。プロフェッションの定義については,難しいところがありますが,簡単に言えば,体系的な学識と技能,倫理感に基づき,究極的には社会全体の利益に尽くす専門職ということでしょうか。
私は,弁護士は,法律問題の専門職として,専門家の目から具体的事案を見通し,依頼者によりよい解決のための情報提供を行う責務を負っていると考えます。依頼者の要望と弁護士の考える最善のプランが異なる場合には,そのことを十分に説明し,よく協議を行った上で方針を決めるべきであり,漫然と依頼者の言う通りにするのみでは専門職の責任を果たしたとは言えないのではないか,と思っています。法律や弁護士倫理に違反する行為をしてはならないことは言うまでもありません。
そのために,私たちは,依頼者の要望や具体的な事実関係に丁寧に耳を傾け,こちらの法的見解を十分に説明した上で方針を決定することを心掛けています。簡単なことではありませんが,プロフェッションとして日々研鑽を重ねています。