Archive for the ‘法律豆知識’ Category

弁護士とカバン

2024-07-22

弁護士の北村です。梅雨も明け夏らしい日が続きますね。

今回は、弁護士とカバンについての小話です。

皆さんは、弁護士のカバンと言えばどんなイメージをお持ちでしょうか。もちろん、見た目や使い勝手の好みは人それぞれですが、個人的イメージでは、以下の種類をよく見かける印象です。

・ブリーフケース

ビジネスバッグの王道です。厚めの裁判記録などを持ち運ぶ機会があるため、軽くて丈夫なナイロン生地でマチ幅があるタイプが人気です。リュックにもなる3wayタイプも人気です。

・リュック

世間同様、ビジネスリュック派も近年増えてきました。茨城県では弁護士もほとんどが車移動ですが、重量物も背中で背負えるリュックは持ち歩きが楽です。

・ダレスバッグ

ドラマの弁護士がよく持っている(?)がま口のビジネスバッグです。見栄えはしますが重いです。私もキャメルカラーのダレスバッグを愛用しています。

・キャリーバッグ

大がかりな裁判記録を持ち運ぶ時に、大容量のソフトキャリーがあれば便利です。

・トートバッグ

いわゆるビジネストートも、見た目と取り回しのスタイリッシュさから根強い人気があります。サブバッグとしても便利です。

逮捕されてしまったら

2024-05-29

弁護士の北村です。梅雨の足音を感じるじめじめした気候の日々ですね。

さて、今回のテーマは刑事事件です。もし、ご自身やご家族が刑事事件の被疑者として逮捕されてしまったら、どうすればよいでしょうか。

事件の内容など具体的事情によりますが、逮捕後すぐに釈放され家に帰れることもあります。

しかし、そうでない場合、①逮捕後48時間以内に警察から検察官に送致→②送致後24時間以内に検察官が勾留請求するか判断→③裁判所が勾留請求を認めた場合10日間の勾留(さらに10日を上限とする勾留延長の可能性あり)を経て、検察官が起訴・不起訴を判断する流れになります。すなわち、①~③で最大23日間の身柄拘束(いわゆる留置場生活)を送る可能性があります。もしそうなれば、仕事を失うなどの不利益は避けづらいでしょう。

よって、早期に身柄拘束を解放してもらうための活動が、弁護人にできる極めて重要な初動になってきます(もちろん、身柄解放が実現するか否かは、事件の内容など具体的事情によります)。

具体的には、②勾留決定前の段階であれば、検察官に対し、勾留を請求しないよう求めていくことになります。③勾留決定後の段階であれば、裁判所に対し、勾留請求を却下ないし取消すよう請求していくことになります。事件の軽重、事実を認めているか否か、身元引受人(ご家族など)の有無などの具体的事情から、逃亡のおそれや罪証隠滅のおそれがないことを主張します。

動き出しが早ければ早いほど、早期に家に帰れる可能性が高くなります。そして、国選弁護人が選任されるのは上記③勾留決定の段階であること、国選弁護人の選任手続に一定の時間がかかることなどからすると、私選弁護人を依頼した方が素早い初動が取れるケースは少なくないよう思います(誤解がないよう付け加えると、国選弁護人は動きが遅いという意味では決してありません)。

髙田知己法律事務所では、茨城県南地域(土浦市・つくば市など)で、ご家族が逮捕されてしまった方のご相談もお受けしております。まずはお問い合わせください。

相続第19回目「改正相続法の概要―相続の効力等に関する見直し―」

2021-09-06

弁護士の若林です。

 

今回は、相続の効力等に関する見直しについて説明します。

 

例えば、父親Aが亡くなり、相続人が長男Xと次男Yの2人であったとします。

Aの相続財産としては自宅不動産しかなく、かつ、Aは生前「自宅は長男Xに相続させる」との遺言書を作成していました。

Xが遺言書に基づいて自宅不動産の登記を自分名義に変更する前に、Yが法定相続分で登記手続きをしてしまい、その後第三者Sに自分の持ち分(1/2)を譲渡、登記をしてしまったとします。

つまり、本来Xの単独所有として登記されるべきところが、XとSが2分の1ずつ共有する内容で登記されている状態です。

この場合、改正前は、Xは登記を備えたSに対して、自宅不動産の所有権(全部)を主張することができました。

 

他方、Aが遺言書を作成しておらず、XとYが話し合い、自宅不動産をXが単独で相続する遺産分割協議をしていた場合で、その後YがSに持ち分(1/2)を譲渡、移転登記してしまった場合はどうでしょうか。

この場合、改正前は、Xは登記を備えていないため、YからSに対して自宅不動産の所有権(全部)を主張することができませんでした。

 

このように、法改正前、Xが登記を備えたSに対して所有権(全部)を主張できるかどうかは、AのXに相続させる旨の遺言の有無によって変わります。

 

ですが、通常、第三者は亡くなった人がどのような内容の遺言書を残していたのかを知ることは困難です。

それなのに、遺言の有無・内容によって権利関係が変わってしまうのは、第三者の利益を害することになりますし、登記制度や強制執行制度の信頼を害するおそれもあります。

 

そこで、改正法では、相続させる旨の遺言についても、法定相続分を超える部分については、登記等の対抗要件を備えなければ第三者に対抗することができないとしました。

 

弁護士の夏休み

2021-07-29

弁護士の北村です。

働き方の多様性が叫ばれる昨今,弁護士の勤務形態も多様化していますが,こと茨城県では伝統的な個人事業主の形態を取る弁護士が多いように思います。

そんな弁護士たちがどんな夏休みを過ごすかは,まさに人それぞれです。長期休暇を取って旅行に出る人もいると聞きます。逆に,仕事の整理に勤しむ弁護士もいると聞きます。

因みに当事務所では,お盆を含めて決まった夏休み期間はなく,暦通りの営業です。各弁護士が各々のタイミングで休暇を取得しています。

私自身は,例年ならば連休を取って普段行けない国内遠方への旅行に行っていましたが,昨年に引き続き今年も難しそうですね。

新型コロナウイルスとこれに伴う様々な法律問題が早期に収束しますように。

相続第18回目「改正相続法の概要―遺留分制度に関する見直し―」

2021-06-28

弁護士の若林です。

 

今回は、遺留分制度に関する見直しについて説明します。

 

遺留分とは、一定の相続人が相続に際して取得することを法律上保障されている相続財産の割合をいいます。

相続人の一人にすべてを相続させる内容の遺言書があった場合でも他の相続人に一部を相続させることになるのは、この遺留分があるからです。

 

遺留分の請求はすべての相続人に認められるわけではなく、権利主張ができるのは①直系卑属(子ども)②直系尊属(両親)③配偶者に限定され、また、各人の遺留分の割合も法律で定められています。

兄弟姉妹には遺留分はありません。

 

遺留分を請求することを遺留分減殺請求(いりゅうぶんげんさいせいきゅう)というのですが、相続法改正前は、遺留分減殺請求を行使すると当然に物権的効果が発生すると規定されていました。

たとえば、相続財産が不動産しかなかった場合に遺留分減殺請求を行使すると、不動産が当然に共有状態になるということです。

共有状態になると処分や利用に制限がかかりますから、相続財産の活用に支障がでることが往々にしてありました。特に会社の事業承継がスムーズに進められないという支障が出ていました。

 

このような支障を解消するため、改正相続法は、遺留分減殺請求権の行使として遺留分侵害額に相当する金銭の支払いを請求することができると改められました。(1046条1項)

また、遺留分減殺請求を受けた人がすぐに金銭を用意できない場合に、裁判所に対して、金銭の全部又は一部の支払について相当の期限の許与を求めることができるとされました。(1047条5項)

原告側?被告側?

2021-05-06

弁護士の北村です。

 

さて,訴訟手続においては,法律の規定に則り,訴えを起こした当事者を「原告」,訴えを起こされた当事者を「被告」と呼んでいます。

因みに,調停手続においては,それぞれ「申立人」「相手方」と呼びます。

この「被告」という呼称ですが,刑事裁判を受けている人の呼称である「被告人」と非常に似ているため,一般の方は「被告」と呼ばれることをとても嫌がると聞きます。将来的には呼称を変えることも検討に値するのかもしれません。

 

私たち弁護士が原告側,被告側いずれの代理人に就くかは,まさにケースバイケースです。もっとも,例えば保険会社の顧問弁護士であれば多くの場合被告側,労働組合系の弁護士であれば多くの場合原告側,といった傾向はあるかもしれません。

 

弁護士として,原告側,被告側どちらの方がやりやすいかと言うと,これまたケースバイケースです。その理由は,多くの場合,原告側において証拠から必要な事実を証明しなければ原告の請求は認められない,とされているためです。このような裁判手続のルールを「立証責任」といいます(説明の便宜上かなり端折っていますが)。立証責任を考慮しながら裁判の見通しを予測していくことは,原告側,被告側いずれの場合も非常に重要となります。

 

という訳で,高田知己法律事務所では,これから裁判手続を起こしたいと考えている方のみならず,裁判手続を起こされて,つまり被告となってお困りの方のご相談もお受けしております。まずはお問い合わせください。

相続第17回目「改正相続法の概要―遺言制度に関する見直し―」

2021-04-19

弁護士の若林です。

 

今回は、遺言制度に関する見直しのうち遺言執行者について説明します。

 

遺言執行者とは、遺言の内容を実現するために必要な手続きを行う者をいいます。

改正相続法では遺言執行者の権限・責務、地位がより明確になりました。

 

改正相続法第1012条

1 遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。

2・3 略

第1015条

 遺言執行者がその権限内において遺言執行者であることを示してした行為は、相続人に対して直接にその効力を生ずる。

 

上記2条から、遺言の内容が相続人の不利益となるときでも、遺言執行者は遺言の内容を実現する行為を行えばよいことが読み取れます。

 

また、改正相続法では、遺言執行者が就任した場合にはそのことを相続人に通知する必要があることも明文化されました。

改正相続法第1007条2項

2 遺言執行者は、その任務を開始したときは、遅滞なく、遺言の内容を相続人に通知しなければならない。

 

さらに、遺産分割法の指定があったときの共同相続人への対抗要件を備えさせる権限や、預貯金債権の払い戻し・解約の権限などが新設されたほか、遺言執行者がいつでも復代理人を選任できるなど復任権の見直しもなされました。

交通事故と後遺障害認定について。

2020-12-25

弁護士の北村です。

髙田知己法律事務所では,開所以来交通事故案件に特に力を入れており,これまでに数多くの案件を解決してきました。

交通事故案件で大きなポイントとなるのは,後遺障害認定が下りるか否かです。後遺障害認定が下りれば,等級に応じた後遺障害慰謝料や,年収をベースに算出される後遺障害逸失利益を請求できることになりますが,非該当であればそれらの請求はできません。

特に見通しが難しいのは,いわゆるむち打ち症,すなわち他覚所見のない神経症状において,後遺障害(主に14級)が認定されるか否かです。私自身もこれまで多くの案件を取り扱ってきましたが,事前予測と逆の結果(いい意味でも悪い意味でも)となることが少なくない印象です。

後遺障害認定が下りるか否かお悩みの方は,ぜひご相談ください。交通事故案件の経験豊富な弁護士が,事案に応じたアドバイスを行います。

相続第15回目「改正相続法の概要―遺産分割に関する見直し④」

2020-11-30

弁護士の若林です。

今回は一部分割について説明していきます。

 

遺産分割事件を早期に解決するためには、争いのない遺産について先行して分割を行うことが有益な場合があります。

改正前の実務でも一定の要件の下で一部分割が行われてきましたが、法文上必ずしも明確ではありませんでした。

そこで、改正相続法では明文の規定を設け、どのような一部分割ができるのかを明らかにしました。

 

 

民法第907条

1 共同相続人は、次条の規定により被相続人が遺言で禁じた場合を除き、いつでも、その協議で、遺産の全部又は一部の分割をすることができる。

2 遺産の分割について、共同相続人間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、各共同相続人は、その全部又は一部の分割を家庭裁判所に請求することができる。ただし、遺産の一部を分割することにより他の共同相続人の利益を害するおそれがある場合におけるその一部の分割については、この限りでない。

3 前項本文の場合において特別の事由があるときは、家庭裁判所は、期間を定めて、遺産の全部又は一部について、その分割を禁ずることができる。

 

ここでいう一部分割は、分割の対象となる残余財産が存在するが、当事者が現時点では残余財産の分割を希望していないこと等を理由に一部のみ分割が行われる場合を対象としており、残余財産については審判事件に係属せずに事件が終了することになります。

 

職務上請求について。

2020-11-24

弁護士の北村です。

今日は,職務上請求についてお話をしようと思います。

弁護士が相手方に対してアクションを起こしていく場合,裁判手続にせよ,任意の交渉にせよ,相手方の所在が判明していることが第一関門といえます。

しかし,依頼者ご本人は相手方の細かい住所を把握していない場合も少なくありません。

このような場面を想定して,弁護士等の有資格者について,住民票および戸籍等の職務上請求という制度が認められています(住民基本台帳法第12条の3第2項,戸籍法第10条の2第3項~第5項)。

請求の要件は法律上きっちり定められており,不正請求を防ぐため,日本弁護士連合会の統一書式によって請求することとなっています。また,取得した住民票,戸籍等を請求の目的以外に使用することは固く禁じられています。

また,住民票,戸籍等の調査そのもののご依頼をお受けすることはできません。あくまでも,相手方に何らかの請求等をしていくご依頼を遂行するために必要な限度で認められた請求,ということになります。

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