Archive for the ‘相続に関する質問’ Category

相続第11回目「改正相続法の概要ー配偶者の居住を保護するための方策(2)-」

2019-11-18

弁護士の若林です。

今回は、①配偶者の居住を保護するための方策のうち、配偶者短期居住権について説明します。

配偶者短期居住権が新設された趣旨は配偶者居住権と重なりますが、主に、被相続人が居住建物を第三者に遺贈してしまった場合や反対の意思を表示していた場合でも、最低6カ月間は配偶者の居住権を保護するというものです。
具体的な条文は以下のとおりです。

民法第1037条
1 配偶者は、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に無償で居住していた場合には、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める日までの間、その居住していた建物(以下「居住建物」という。)の所有権を相続又は遺贈により取得した者(以下「居住建物取得者」という。)に対し、居住建物について無償で居住する権利(居住建物の一部のみを無償で使用していた場合にあっては、その部分について無償で使用する権利。以下「配偶者短期居住権」という。)を有する。ただし、配偶者が、相続開始の時において居住建物に係る配偶者居住権を取得したとき、又は第891条の規定に該当し若しくは廃除によってその相続権を失ったときは、この限りでない。
一 居住建物について配偶者を含む共同相続人間で遺産の分割をすべき場合
 遺産分割により居住建物の帰属が確定した日又は相続開始の時から6箇月を経過する日のいずれか遅い日
二 前号に掲げる場合以外の場合
 第3項の申入れの日から6箇月を経過する日
2 略
3 居住建物取得者は、第1項第1号に掲げる場合を除くほか、いつでも配偶者短期居住権の消滅の申入れをすることができる。

配偶者は、①被相続人の配偶者であること、及び②相続開始の時に被相続人が所有する建物に無償で居住していたことの要件を満たせば、配偶者短期居住権を法律上当然に取得することができます。
配偶者短期居住権については、遺産分割の際に具体的相続分からその価値を控除する必要はありません。

 配偶者短期居住権は、①存続期間満了、②居住建物取得者による消滅請求がされた場合、③配偶者が配偶者居住権を取得した場合、④配偶者死亡、⑤居住建物が全部滅失した時等に消滅し、居住建物を居住建物取得者に返還することになります。

相続第9回目「改正相続法の概要―法改正の話②―」

2019-07-01

弁護士の若林です。

7月に入りましたね!
今日から2019年下半期がスタートするわけですが、改正相続法も、一部の規定を除いて本日より施行されます!
本来であれば相続第9回目以降は引き続き「相続財産の内容」について説明をする予定だったのですが、せっかくなので今回から本日より施行される新制度について説明していきます。

さて、相続法の改正点の概要は以下のとおりです。
① 配偶者の居住権を保護するための方策
② 遺産分割等に関する見直し
③ 遺言制度に関する見直し
④ 遺留分制度に関する見直し
⑤ 相続の効力等に関する見直し
⑥ 相続人以外の者の後見を考慮するための方策

これらの概要をさらに細かく見ていくと
① 配偶者の居住権を保護するための方策として
(1) 配偶者居住権の新設
(2) 配偶者短期居住権の新設
② 遺産分割等に関する見直しとして
(1) 配偶者保護のための方策(持戻し免除の意思表示の推定規定)
(2) 遺産分割前の仮払い制度等の創設等
(3) 遺産の分割前に遺産を処分した場合の遺産の範囲
③  遺言制度に関する見直しとして
(1) 自筆証書遺言の方式緩和
(2) 遺言執行者の権限の明確化等
④ 遺留分制度に関する見直しとして
(1) 遺留分侵害があった場合の権利が金銭債権化
(2) 金銭債務の全部または一部の支払につき期限の許与
⑤ 相続の効力等に関する見直しとして
(1) 法定相続分を超える権利取得の対抗要件
⑥ 相続人以外の者の貢献を考慮するための方策として
(1) 相続人以外の被相続人の親族を保護する規定の新設
となります。

このうち、③(1)については、平成31年2月12日のブログでも触れたとおり、平成31年1月13日から施行されています。
また、①については、令和2年(2020年)4月1日から施行されることになっています。

つまり、②、③(2)、④~⑥についてが本日より施行されるわけです。
 
次回から、改正点の具体的な内容について説明していきます。

相続第8回目「相続財産の内容ーその4ー」

2019-04-22

 弁護士の若林です。

 春らしいポカポカ陽気が続くようになりましたね。
 今週末からはいよいよ10連休です。
 連休期間中は旅行に行く方、家でゆっくりする方、もちろんお仕事をされる方、色々いらっしゃると思いますが、何をするにしてもいい天気になるといいですよね。
 ちなみに、10連休期間中(4月27日~5月6日)、当事務所は休業となります。ご了承の程、よろしくお願い致します。

 さて、平成最後のブログ。
 今回は、相続財産のうち⑤有価証券について取り上げます。
 有価証券といわれてパッと思いつくのは株式ではないでしょうか。
 亡くなった方が株式を保有していた場合には、株式も相続財産の対象となります。

 日々変動する株式は、相続財産としてどのように評価するのでしょう?

① 上場株式等取引市場のある場合
  取引市場がある場合には公表されている株価がありますから、基準日を設定し、その日の終値に基づいて評価額で算定することが多いようです。
 また、株価の変動が激しい場合等には、相続人全員の合意のもと、一定期間の終値の平均値とすることもあります。
② 取引市場がない場合
 非上場株式のように取引市場がない場合、評価はとても難しくなります。
 財産評価基本通達を利用することや、会社法上の株式買取請求権における株価算定方法を使うこともあるようです。
 なお、有限会社の持ち分権も、基本的には非上場株式と同じように評価されています。

 ちなみに、相続人が会社に対して株主であることを主張、議決権を行使したり配当を受け取ったりするためには名義書換を請求する必要があります。この手続きは単独ではできません。相続人が手続きのためには遺産分割協議が必要となります。

 それでは、皆様にとって素敵な10連休となりますように。

相続第7回目ー法改正の話①ー

2019-02-12

弁護士の若林です

前回まで相続財産の範囲についてお話してきましたが、今回は少し違うお話を。

平成30年7月13日に相続に関する法律が改正、公布されました。
そのうち「遺言書の方式」に関する内容にも一部改正があったのですが、
今回「一部手書き以外の自筆証書遺言が認められることになった」ことを指摘したいと思います。

これまでの法律では、有効な自筆証書遺言を作るためには、遺言書を作成する人が、遺言書の全文、日付、氏名を自書し、印を押さなければなりませんでした。
一見簡単そうですが、相続財産をすべて手で書くことはとても大変です。
「大変なのは相続財産がたくさんある場合だけでしょ?」と思うかもしれませんが、そんなことはありません。
相続人間で争いが起きないよう相続財産の分け方や方法を細かく指定したいこともありますよね。その場合も、すべて手で書かなければならないわけです。その上、間違えてしまった場合の修正方法も法律で厳格に決まっています。
(それでも大変さがぴんと来ない・・・という方は、ぜひ一度自筆証書遺言書を作成してみてください。)

それが新法では、相続財産の目録は自書でなくてもよいことになりました。
つまり、財産目録の部分については、パソコンで作成してもいいし、通帳や登記簿謄本のコピーを添付して財産目録としてもいいわけです。(ただし、各ページに遺言者の署名と押印は必要です。)

ちなみに、遺言書の方式に関する改正はについては、平成31年1月13日から施行されています。

相続第6回目「相続財産の内容―その3ー」

2018-11-02

弁護士の若林です。

 

久々の更新になりましたが、今回は相続財産のうち④不動産についてです。

 

相続財産に不動産が含まれることは多いですよね。

そして、その時一番問題になるのがその価格の評価方法です。

不動産の評価額としては、固定資産評価額、路線価、不動産業者による査定等色々ありますが、遺産分割の際にどれを採用するかについては定めがあるわけではありません。

相続人全員で合意しているのであれば、どの評価額を採用してもいいわけです。

 

さて、不動産を扱う場合、名義が被相続人の前の代のままになっていることもよくあるケースです。

この場合、前の代で遺産分割協議をしていなければ、前の代の相続人が法定相続分で共有している状況になります。

そのため、前の代からの相続手続きを経なければならなくなり、手続終了までに長時間かかってしまうことも多いです。

 

相続手続きをしていなくても納税はできますし、権利関係に争いがなければ実害が生じることもないため、ついつい登記手続きを後回しにしてしまう方も多いと思います。

でも、相続を重ねる度に手続きは煩雑になっていきますし、不動産を売却したいと思ったときにスムーズに動けず、活用の機会を逃してしまうこともあります。

ですので、早めの対応をおすすめ致します。

相続第5回目「相続財産の内容ーその2ー」

2018-04-09

弁護士の若林です。

 

今回は相続財産のうち、③自動車を取り上げます。

③ 自動車
亡くなった方が所有する自動車が対象となります。

自動車の所有は車検証で確認することができます。
自動車をローンで購入していた場合、車検証上の所有者欄が信販会社や販売会社の記載となっていることもあります。
車検証上の所有者が信販会社等になっている場合、ローンが残っていることが予想されますが、時々ローンは完済したけれど名義変更をしないままだった、ということもあります。ですので、まずはローンが残っているのかどうかを直接会社等に確認した方が良いでしょう。

自動車が相続財産になるとして、その価値はどうやって決めるのでしょう。
自動車の財産価値をいくらと評価するのかは、相続人間の協議で決めることになります。その際、業者による査定書やオートガイド自動車価格月報(通称:レッドブック)、インターネット上の同種車両の取引価格などを参考にすることが多いです。
もちろん、自動車は消耗品ですし、ある程度の年式や走行距離によっては、相続人間の話し合いで資産価値0円とすることもあります。

「相続人が行方不明!?」

2018-02-13

弁護士の大和田です

当事務所では,相続についてのご依頼も多数いただいており,あらたに相続特設ページを開設しました。そこで,今回のブログは,相続をテーマにしたいと思います。
相続にも様々なパターンがありますが,なかには,相続人が見つからず,遺産分割の話し合いすらできないということもあります,
例えば,兄弟姉妹と長年に渡り音信不通で,そのような状況の中,父(又は母)が亡くなってしまったというような場合です。
この場合,行方が分からない兄弟姉妹も父(又は母)の子供ですから,当然に相続人となりますが,連絡が取れない以上遺産分割の話し合いはスタートできません。
かといって,いつまでも放置するわけにもいきません。特に相続税が生じる場合には,相続税の申告期限がありますから,なおさら放置するわけにはいきません。
このような場合は,家庭裁判所に不在者財産管理人の選任の申立てをすることになります。簡単にいうと行方不明の相続人の財産を管理する人を裁判所に選任してもらうという手続きです。
不在者財産管理人が選任されれば,その管理人と遺産分割の協議を進めることが可能で,遺産分成立に向けて一歩前進することができます。
不在者財産管理人の申立ては,ご本人だけでももちろん可能ですが,必要な書類も多く,法的な知識も必要となる場合があります。ですので,不在者財産管理人の申立ての段階から弁護士に依頼することも十分検討された方がよいかと思います。
当事務所では,不在者財産管理人の申立てはもちろん,裁判所から不在者財産管理人として選任されることも多くあり,相続人が行方不明の場合の対応について知識や経験を積み重ねてきております。
相続人が行方不明で困ったということがあれば,是非当事務所までご相談下さい。

相続第4回「相続財産の内容ーその1」

2018-01-24

弁護士の若林です。

2018年がスタートしました!
ブログでは本年も引き続き磯野家をモデルに「相続」の話題を取り上げていきます。
本年もどうぞお付き合いくださいませ。

さてさて、相続第4回目からは具体的な相続財産の内容に入ります。
今回は、①現金と②預貯金を取り上げます。

①現金
例えば、被相続人のお財布の中に入っていたお金やタンス預金等、被相続人が亡くなった時に現金として手元に残っていたお金です。

②預貯金
各種金融機関に預けてある被相続人名義の預貯金で、被相続人が亡くなった時に存在しているものです。

ちなみに、預金と貯金の違いをご存知ですか?

どちらも「預けたお金」という意味なのですが、銀行や信金、労金等では「預金」、ゆうちょ銀行(郵便局)や農協、漁協等では「貯金」といっているようです。

 

話を元に戻します。

さきほど「被相続人名義の預貯金」といいましたが、名義は第三者だけど口座への入金等は被相続人が行っていた場合、いわゆる「名義預金」はどうなるのでしょう?
例えば、波平さんがサザエさんの将来を思い銀行でサザエさん名義の口座を開設し、そこにお金を積み立てていた場合、この預金は相続財産になるのでしょうか?

もちろん、相続財産と評価できるかどうかは、誰がお金を出しているのかや通帳の管理状況等様々な事情から実質的に被相続人の預金といえるかどうか判断することになるため一概にいうことはできませんが、お金を波平さんが積み立て、口座の管理も波平さんが行っていた場合には波平さんの相続財産として扱われる可能性が高いでしょう。

仮に、様々な事情から「サザエさんの預金である」と判断された場合でも、波平さんからサザエさんへの生前贈与として「特別受益」に当たるとされる可能性もあります。
(なお、「特別受益」については、後日詳しく説明をする予定です。)

 

ちなみに、この「名義預金」は相続税との関係でも注意を要します。ここでは詳しくは述べませんが、ぜひご留意ください。

相続第3回「相続財産となるものは?」

2017-11-01

弁護士の若林です。

少し間が空いてしまいましたが、
相続第3回目「相続財産となるものは?」です。
第2回で各相続人の相続分について説明しました。
法定相続分で分ける場合、妻である舟さんが2分の1、子どもであるサザエさん、カツオくん、ワカメちゃんがそれぞれ6分の1ずつ相続することになります。

相続分がわかったとして、その対象になるもの、つまり相続財産となるものにはどんなものがあるのでしょうか。

民法896条
相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。

すなわち、相続財産とは、被相続人が亡くなった時に存在するプラスの財産とマイナスの財産ということになります。ただし、財産の性質上被相続人のみが受け取ることができる権利は除きます。

では、プラスの財産としては具体的にどんなものがあるのでしょう。
よくあるものとして、
①現金 ②預貯金 ③自動車 ④不動産 ⑤有価証券
等が挙げられます。
この他、⑥被相続人がアパートやマンションを借りていた場合にはその賃借権も対象となりますし、⑦被相続人が訴訟中に亡くなった場合には原告・被告といった訴訟上の地位も原則として相続対象となります。

これに対し、⑧生命保険金については受取人が誰なのかによって相続財産となるかが変わります。同様に⑨死亡退職金の場合も支給規定によって左右されます。

なお、遺族年金は遺族の生活救済を目的とするものですから相続財産とはなりません。
香典についても、一般的には喪主に対する贈与とされていますので相続財産に含まれません。

次回以降、各財産についてもう少し詳しく説明していきたいと思います。

相続②「相続分はどのくらい?」

2017-06-16

弁護士の若林です。

 

相続2回目は「相続分はどのくらい?」です。

 

1回では磯野家を題材に「誰が相続人になるか」を説明しました。

波平さんの相続人は、舟さん、サザエさん、カツオくん、そしてワカメちゃんの4名でした。

 

では、各相続人の相続分はどのくらいになるのでしょう?

民法では相続人の順位に応じて相続分が定められています(法定相続分)。これを磯野家にあてはめてみましょう。

民法900

同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号に定めるところによる。

1号 子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一とする。

(中略)

4号 子、直系尊属、又は兄弟姉妹が数人ある時は、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし、(略)。

 

条文に従うと、妻(配偶者)である舟さんの相続分は2分の1となります。

そして、子であるサザエさん、カツオくん、ワカメちゃんの3人は2分の1を平等に分けることになりますから、相続分は6分の1ずつとなります。

ちなみに、サザエさんが波平さんよりも先に亡くなっていた場合にはタラちゃんが相続人になります(代襲相続)。

この場合のタラちゃんの相続分は「サザエさんの相続分」、つまり6分の1です。

 

もっとも、相続人の全員で話し合い合意ができれば法定相続分と異なる相続分で分けることもできます。

例えば、舟さんが一人で相続財産の全部を相続することも、サザエさん、カツオくん、ワカメちゃんの合意があれば可能なわけです。

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