弁護士の若林です。
法人破産手続第1回目のテーマは「従業員のお給料に関するもの」です。
従業員を抱える法人代表者の方が破産手続きを進める中で一番に気にされるのが、お給料の支払いです。
「既に給料の未払いが発生している。」
「今月は何とか払えたが来月分が払えない。」
「従業員達に迷惑をかけるのは何とかして回避したい。」
こんなご相談をよく受けます。
お給料は従業員やその家族の生活を支える大切なものです。支払いが滞れば法人だけでなく従業員の生活まで立ち行かなくなってしまいます。
そのため、破産法では、従業員の破産手続開始前3カ月間の給料請求権を財団債権として扱い、破産手続とは関係なく随時支払うことを認めています(破産法149条1項)。
また、上述期間以外に発生した給料請求権については、破産手続きの中で処理することにはなりますが、優先的破産債権として一般破産債権よりも優先的に配当が受けられるように位置づけています(破産法98条、民法306条2号)。
もっとも、破産手続開始時に会社に資産があればいいでのすが、それすらないという場合も多くあります。いくら優遇的な扱いをされても、支払に充てる原資がなければ意味がありません。
この場合には、「未払賃金立替払制度」を利用することができます。
未払賃金立替払制度とは、企業の倒産によって毎月の賃金や退職金が支払われないまま退職した労働者に、国が事業主に代わって、未払賃金の8割を立替払いする制度です。
利用要件はありますが、破産する法人に資力がない場合の労働者のためのセーフティーネットとして大きな役割を果たしています。
未払賃金立替払制度の利用要件等詳細について説明を・・・
と思ったのですが、少し長くなってしまいました。
制度の詳しい説明は、また次回に致します。
次回もぜひお付き合いくださいね。