弁護士の北村です。
日常会話でも「この話はもう時効だから」などと言われることがありますが、私たち法律実務家にとって、時効はとてもよく出くわす問題です。
法律上、時効にもいくつかのカテゴリーがあります。
1つは、消滅時効と言われるものです。一定期間、権利が行使されないまま経過することで、債権(債務)が消滅します。
例えば、ずっと昔に借り入れをしたものの、支払いが滞ったまま10年以上経過した場合、消滅時効を主張できる可能性があります。
ただし、時効は、当事者が主張(援用)しない限り、その効果は発生しません。例えば、忘れた頃に突然債権者から連絡が来て、言われるがままに手持ちの金額を支払ってしまったような場合、後からはたと気づいて時効援用することはできなくなってしまいます。また逆に、過払い金が発生していても、取引から時間が経ち過ぎてしまうと、消滅時効によって請求できる金額が減ってしまう可能性があります。
そうなってしまっては天地の差ですので、思い当たる方はお早目に弁護士に相談してみることをお勧めします。
2つ目は、取得時効と言われるものです。例えば、親の代やそれ以前から自分の土地だと思って使っていたのに、実は他人の土地であったことが分かった場合(このようなケースは、隣地との境界も絡んで、案外多いものです)、取得時効が成立していれば、登記を現況に一致させることができる可能性があります。
調査・交渉・訴訟対応など、複雑な対応が必要な場合も少なくありませんので、一度専門家のアドバイスを聞いてみてもよいかもしれません。
これら以外でも、法律上様々な期間の制限(厳密には時効とは異なるものも含む)が存在します。期間の経過について法律はとてもシビアですので、相談は早め早めを心掛けたいですね。