弁護士の北村です。
シリーズ3回目の今回は,離婚についてです。
(1)離婚原因
離婚原因と言っても多種にわたりますが,よく争いになるのは不貞行為・暴力・嫌がらせなどです。これらの事情があったか否かが激しく争われることは少なくありません。
さて,離婚原因にいう「不貞行為」とは肉体関係を意味しますので,異性と頻繁にメールやラインをしていた履歴がある,というだけでは言い逃れの余地があります(とはいえ,文面だけから肉体関係があったと推認できることもありますし,怪しいやり取りを見つけたら消されたりする前に写真に撮っておくことをおすすめします)。ホテルや家に何時に入って何時に出てきた,といった写真があれば強力な証拠になりますが,そのために探偵に依頼するとなると少なくない費用が発生することもありますので,個人的にはあまりおすすめしません。もちろん,事実を認めて謝罪するといった念書の類も証拠になります。
暴力や嫌がらせについては,病院の診断書やけがの写真,会話の録音,嫌がらせをされた状況の写真などが証拠になります。日々の出来事を書き留めた日記も証拠になりますが,写真や録音などの客観的な証拠と比べると証拠として弱い面もあります。
(2)慰謝料
概ね離婚原因と同じです。なお,肉体関係があったとは証明できなかった場合でも,既婚者として異性との不適切な関係(頻繁に2人でデートしていたなど)があったといえる場合には,慰謝料を請求できる可能性があります。
また,不貞の相手方に対して慰謝料を請求するためには,相手がどこの誰だか分からないといけませんが,これを調べることは簡単ではないのが実情です。
(3)財産分与
まずは,不動産(登記簿)・預貯金(通帳や取引履歴)・保険(保険証書など)・退職金(予定額証明書)など,分与の対象になる財産についての情報が必要です。任意に洗いざらい開示してもらえればよいのですが,往々にして財産を隠していることがあります。どこに財産があるかある程度当たりが付くのであれば,依頼した弁護士を通じて調査をかけることができますが,調査だけの依頼はお受けしていませんのでご了承ください。
また,不動産の評価を決定するためには,固定資産評価証明書などの各種証明書や,不動産業者等の査定書などが必要になります。住宅ローンがある場合には,残高証明書も必要です。
(4)婚姻費用・養育費
とにもかくにも,双方の収入を明らかにする資料(給与明細・源泉徴収票・確定申告書など)が必要です。
「算定表」を用いて双方の収入から機械的に算定されることが多いですが,教育費・医療費・居住費など,子のために特別の支出を負担している場合には,これらが一定程度考慮される可能性もありますので,これらを支出していることが分かる資料があるとよいでしょう。
さて,私も高田所長の本を読みました。というより,実は原稿段階から何度も目を通させていただいていました。
紙面の都合で割愛されたエピソードもあるのですが,それらも含めて,今まで詳しくは知らなかった所長の半生を知ることができ,大変な努力と様々な経験の上に今の所長があるのだな,ということを改めて実感しました。私ももっともっと研鑽を重ねていかなければ,と身を引き締めています。
ぜひご一読してみてください。