Archive for the ‘交通事故に関する質問’ Category
交通事故における傷害慰謝料について
今回は,交通事故において負傷した場合の慰謝料(傷害慰謝料)についてご説明いたします。
1 はじめに
慰謝料とは精神的損害のことです。交通事故により負傷した場合,治療期間や入通院日数に基づいて,慰謝料を算出することになります。なお,死亡や後遺障害についても慰謝料は存在しますが,それらは別の機会にご説明いたします。
2 算出基準
①自賠責基準 1日につき4300円となります(令和2年4月1日以降の事故)。
②保険会社基準 自賠責基準に近い金額となることが多いようです。
③弁護士基準 裁判例の蓄積に基づいて作成された算定表が存在します。弁護士が傷害慰謝料を請求する場合には,同算定表に基づいて請求することが一般です。
3 まとめ
保険会社が被害者の方に提示する慰謝料の金額は,保険会社基準に基づくことが通常です。弁護士が被害者の方より依頼を受けた場合,被害者の代理人として,弁護士基準に基づいて慰謝料の交渉を行ないますので,被害者の方がご自分で交渉するよりも,慰謝料の金額が高くなる傾向があります。
交通事故における休業損害について
今回は,交通事故により仕事を休まなければならなくなった場合の損害(休業損害)についてご説明します。
1 休業損害とは
交通事故により受傷し,入通院のために仕事を休んだ場合,仕事を休んだことによる収入の減少を損害として相手方に請求することになります。
収入については次のような情報をもとに算定することが一般的です。
2 収入算定の基礎
①給与所得者
事故前3ヶ月間の平均賃金を基礎にして1日あたりの収入を算定します。
②個人事業主
事故前年における所得額を基礎にして1日あたりの収入を算定します。
③家事従事者(主婦)
女子労働者全体の平均値を基礎にして1日あたりの収入を算定します。
④会社役員
休業損害が認められないことが通常ですが,減収がなくとも損害が認められた事例もあります。
④学生,無職者等の場合
原則として休業損害は認められません。
3 まとめ
今回は,交通事故における損害の1つである休業損害についてご説明しました。今後も,交通事故における損害について説明させていただきます。
交通事故における人的損害について
今回は,交通事故により怪我をしてしまった場合,相手方にどんな請求をすることになるかについてご説明します(後遺障害や死亡事故を除きます)。
1 治療費
通常は保険会社から病院に対して直接支払われます。健康保険を使用した場合には,被害者の方が立替えたうえで,保険会社に請求する場合もあります。
2 交通費
病院に通院する場合の交通費となります。自家用車を使用した場合には距離に応じたガソリン代となります。
3 入通院慰謝料
入通院期間,入通院日数に基づいて,慰謝料を算定することになります。
4 休業損害
仕事や家事を行なえなかった場合の損害です。会社員の方は,勤務先に休業損害証明書を作成してもらいます。
今回は,交通事故における人的損害についてご説明しました。各損害の詳しい内容につきましては,今後も紹介していきます。
交通事故における物的損害について
今回は,交通事故により車が壊れてしまった場合,相手方にどんな請求をできるかについてご説明します。
1 修理費用
交通事故により車が損傷した場合には修理費用が認められます。車の時価額が上限となりますが,加害者が特約に加入していた場合,時価額を超えて修理費用が支払われる場合もあります。
2 代車費用
修理に通常必要な期間について,代車費用が認められます。2~3週間とされることが多いようです。
3 修理が不可能な場合
車の時価額を請求することになります(全損)。その場合,買替に関する手続費用も請求することができます。
4 評価損
車種,損傷の程度,初度登録からの期間,走行距離などの具体的事情によっては,評価損が認められる可能性があります。任意交渉の段階で,保険会社が評価損を認めるケースは多くないように感じます。
今回は,交通事故における物的損害についてご説明しました。次回以降も,交通事故における各損害についてご説明します。
交通事故における損害について
弁護士の小沼です。
今回は,交通事故の被害者になってしまった場合に,相手方に対して,どんな損害を賠償請求していくことになるかについてご説明します。なお,賠償が認められるのは相手方に過失が認められる部分(相手方の過失割合部分)に限られます。
1 車が壊れてしまった
「修理費用」「代車費用」について請求することができます。この他に「廃車手続費用」「評価損」等が請求できる場合があります。
2 怪我をした
「治療費」「通院交通費」「傷害慰謝料」「休業損害」等を請求することができます。後遺障害が存在する場合には「後遺障害慰謝料」「逸失利益」等も請求することになります。
3 死亡した
被害者の相続人から請求することになります。具体的には「死亡慰謝料」「逸失利益」「葬儀費用」等を請求することができます。
今回は,交通事故における損害の概略についてご説明しました。次回以降は,各損害の詳細についてご説明します。
人身傷害保険について
弁護士の小沼です。
今回は,自動車保険における人身傷害保険についてご説明いたします。
1 人身傷害保険とは
人身傷害保険は,自動車の任意保険に加入する際,特約として選択しうる保険です。交通事故により負傷した場合,自身の加入している保険会社から補償を受けることが可能となります。
2 利点
加害者が任意保険に加入しておらず,同人の資力が十分でない場合には,自賠責保険以上の賠償を受けられない可能性があります。また,双方に過失のある事故の場合,相手方から支払われる賠償金は,相手方に過失が認められる範囲に限定されます。このように,相手方から賠償を受けられない場合に,自身の保険会社から補償を受けることができるというメリットがあります。
3 まとめ
人身傷害保険を特約として付加する場合には,月々の保険料があがってしまうというデメリットはあります。しかし,交通事故は加害者を選べるわけではありません。加害者が任意保険に加入していなかったり,資力に乏しかったりすると,十分な賠償を受けられない可能性があります。もしもの場合に備えて,人身傷害保険の加入を検討してみてはいかがでしょうか。
車両保険について
弁護士の小沼です。今回は,自動車保険における車両保険についてご説明いたします。
1 車両保険とは
車両保険とは,任意保険の特約にあたる保険です。
同特約を付加していると,自分の車が損傷したときなどに,自分の保険会社から保険金の支払いを受けることができる場合があります。
2 メリット
双方に過失が認められる交通事故の場合,自分の車が損傷しても,相手方から賠償を受けることができるのは,相手方に過失が認められる部分のみになります。これに対し,車両保険を付加していた場合は,自分の車の損害について,自分の過失部分を含めて保険金を受け取ることができます。
3 デメリット
特約を付加することになるので,保険料が増加します。また,車両保険を使用すると,通常は等級が変更されます。
4 まとめ
金銭的な負担は増えますが,加害者が任意保険に加入していなかったり,資力に乏しかったりするリスクも考えると,加入を検討してみてもよいのではないでしょうか。
弁護士特約について
今回は,自動車保険の弁護士特約についてご説明します。
1 弁護士特約とは
弁護士特約とは,自動車保険に特約として付帯する保険です。
自身の加入する保険会社が弁護士費用を負担してくれるため(限度額はあります),費用を負担することなく弁護士に法律相談をしたり,示談交渉や訴訟手続等を依頼したりすることができます。
2 メリット
依頼者に代わり,弁護士が相手方と交渉することになりますので,一般の方が交渉するよりも,示談金が高額となる傾向があります。弁護士特約のみを使用するのであれば,通常は加入保険の等級に影響はありません。
3 デメリット
自動車保険の特約になりますので,保険料が多少増加することになります。
当事務所では,弁護士特約によるご相談やご依頼も多数承っております。万が一交通事故に遭われた場合には,是非一度ご相談ください。
交通事故における賠償基準について
今回は,交通事故における賠償基準についてご説明します。
1 自賠責基準
自賠責保険の保険金の支払いにおいて定められている基準です。休業損害は1日につき5700円,慰謝料は1日につき4200円などと定められています。
2 任意保険基準
任意保険会社が個別に定めている基準となります。自賠責基準よりやや高めに設定されているようです。
3 弁護士基準(裁判基準)
弁護士が示談交渉を行なう場合や,裁判を行なう場合等に用いる基準となります。多くの場合,自賠責基準や任意保険基準よりも高額となります。弁護士が弁護士基準(裁判基準)をもとに示談交渉を行なうことにより,被害者の方が受け取る賠償額の増加につながることになります。
交通事故における賠償請求について
今回は,交通事故において双方に過失が認定された場合,どのような処理をするかについてご説明します。
1 賠償請求をする場合
まず,自身の人的損害(怪我をした場合など)と物的損害(車が壊れた場合など)において損害額を確定します。
自身の損害額のうちから,相手に過失が認められる割合に応じて,相手に賠償請求していくことになります。
自身が加入する自動車保険に弁護士特約を付帯していた場合,弁護士に示談交渉を依頼することが可能です。
2 賠償請求を受ける場合
まず,相手の人的損害(怪我をした場合など)と物的損害(車が壊れた場合など)において損害額が確定されます。
相手の損害額のうちから,自身に過失が認められる割合に応じて,相手に対する賠償義務が生じます。
自身が加入する自動車保険の対人・対物保険の使用を検討することになります。
3 過失割合
交通事故における事故態様については,様々なケースが考えられます。事故態様ごとに基本的な過失割合を確認することができますので,随時ご紹介していきます。