不貞行為,すなわち婚姻中の男女が配偶者以外の者と性的関係を持った場合,夫婦間における離婚原因(民法第770条1項1号)になるのみならず,不貞の当事者は,夫婦のもう一方に対して不法行為責任(民法第709条)を負います。要するに,不倫の慰謝料を支払う義務が発生します。
この義務は,不貞した2人が連帯して負う義務(不真正連帯債務といいます)となります。請求する側から見ると,自分の配偶者と不倫相手のどちらに対しても請求ができるということになります。
弁護士に相談依頼するメリット
不倫の慰謝料請求は,基本的には「不貞行為」の相手方に対して認められるため,2人の間に性的関係があったといえるか否かが重要なポイントになります。性的関係は密室のことであり,不貞行為はなかったと口裏合わせをされることも少なくありません。裁判になった場合も有用な証拠をつかむことが必要ですが,こちらの動きを察知されてしまえば,それも難しくなってしまいます。
弁護士に早めに相談依頼することで,先のことも見越して適切な対応を取ることができる可能性が高まります。また,弁護士であれば,浮気を疑い始めた初期から裁判が終了するまで,慰謝料請求の全てをサポートすることができます。
慰謝料の相場
一般的に,不倫・不貞の慰謝料の相場は200~300万円だと言われることが多いです。とはいえ,それほど定まった額というわけではなく,以下のような事情を総合的に考慮して定まることになります。
- 不貞行為が原因で離婚ないし夫婦関係の破綻に至ったか否か
- 婚姻期間および不倫期間の長さ
- 不貞行為の頻度
- 不貞行為発覚後の対応
(謝罪の有無や「もう会わない」との約束を破った,など) - 夫婦間の子の有無・年齢
- 相手方の資力
慰謝料請求の流れ
配偶者に浮気や不倫の疑いを持った場合,まずは証拠をつかむことが必要です。ホテルや自宅に出入りした現場を押さえることや,メールやLINEのやり取り,領収書などが一例です。車に無断でGPSを取り付けたような場合,裁判では使いづらい違法収集証拠となりますのでご注意ください。どんな証拠が「不貞行為」を証明するのに有用かは,弁護士にご相談ください。
また,慰謝料を請求するためには不倫相手の身元も明らかにする必要があります。すぐに分からない場合には,配偶者から聞き出すよりない場合が少なくありません。
不貞行為の事実関係と相手の身元を押さえたら,まずは内容証明郵便を送付し,慰謝料請求の交渉を進めていくことが一般的です。交渉で話がまとまらなかった場合には,損害賠償請求の民事訴訟を提起していきます。
なお,不貞の相手方にも配偶者がいる,いわゆるダブル不倫の場合には,相手方の配偶者も同じように慰謝料を請求できますので,法律関係が少し複雑になります。対応は弁護士にご相談ください。