1 早期ご相談のお勧め
過払金については,過払金返還請求権の消滅時効期間が経過してしまう可能性や,過払金の存在が認められるとしても,貸金業者の資力状況が悪化することにより過払金を回収できなくなるおそれがあります。したがって,早期のご相談をお勧めします。
2 消滅時効の問題
過払金返還請求権は,不当利得返還請求権(民法703条)という債権にあたります。債権の消滅時効期間は10年(民法167条1項)ですので,過払金返還請求権の消滅時効期間も10年となります。
消滅時効期間がどこからスタートするかですが,基本的には最終取引時を起算点とします。なお,取引の分断が認められた場合には,取引のない空白期間を挟む前後の取引について,個別に消滅時効期間の経過を検討する必要があります。
3 催告
消滅時効期間が経過する前であれば,催告を行なうことにより,交渉期間を延ばすことができます。もっとも,催告から6ヶ月以内に裁判上の請求を行なわなければ,やはり消滅時効にかかってしまうことは変わりません(民法153条)。
4 貸金業者の資力の問題
貸金業者のなかには,急速に資力状況を悪化させている業者があります。また,すでに法的手続により債務整理を行なった貸金業者も存在します。
仮に,貸金業者が法的整理手続を行なった場合,過払金返還請求権の存在が認定されたとしても,回収できる金額は,認定された金額の数%ということも十分に考えられます。