個人間の人間関係で,金銭の貸し借りをすることがあります。きっちり返済してもらえればよいのですが,時には返済が滞ってしまったり,全く返済してもらえないこともあります。
こちらと相手とで事実関係に関する認識が食い違っていることなどもあり,法的手続を取らざるを得なくなる場合もあります。金銭回収のため,まずは弁護士にご相談ください。
争いになりうるケース
個人間であれ業者からであれ,金銭の貸し借りは,法律上「金銭消費貸借契約」といいます。相手に金銭の返済を求めるためには,当事者間で金銭消費貸借契約が成立したといえる必要があります。その要件は,当事者間で金銭を返還する旨の合意をしたこと,その金銭を交付していることの2つです。
裁判になった場合,上記の要件について請求する側で証明していく必要があります。契約時にきっちりした金銭消費貸借契約書を作成しており,貸付の履歴が通帳の出入金履歴で確認できるのであれば分かりやすいところです。
しかし,個人間の金銭の貸し借りの場合,一切の書面を作成していないことや,簡単な借用書を作成したにすぎない場合も少なくありません。また,振込ではなく現金手渡しで金銭を交付した場合,交付額も客観的に明らかになりません。
そうなると,そもそも借りたのではなく贈与された金銭であるとか,借りた金額が異なっている,などといった反論が相手から出てくる可能性があります。こちらと相手とで事実関係について認識が異なっていれば,話し合いで折り合いをつけることは難しくなります。裁判所の判断を仰ぐとなった場合,どのように進めていけばよいのか,弁護士にご相談された方がよいかもしれません。
回収までの流れ
弁護士を差出人とする内容証明郵便を相手に送付して,貸し付けた金銭の返済を催告します。支払いがない場合には法的手続を取るという内容の書面を弁護士から送ることで,相手に対するプレッシャーをかけることができます。地元の裁判所で訴えを起こされたとなればきまりが悪い,何とか資金を用意して支払う,とこの段階で言ってもらえることも少なくありません。
それでも一向に支払いがなされない場合や,相手の支払方法の提案がこちらの希望とかけ離れている場合,また事実関係について認識の相違がある場合には,訴訟を提起して貸付金の回収を図ることになります。
相手が法人や事業者でない純然たる個人の場合,相手方が裁判所に出頭しない可能性もあります。その場合,こちらの勝訴判決を債務名義として,強制執行の手続ができるか検討します。弁護士会照会等の手段によって差押対象財産を把握することができれば,差押えによって回収を図ることになります。