暗黙のルール

弁護士の高島です。

2012年度も終わりが近づいてきました。

NHKの大河ドラマ「平清盛」もいよいよ最終回をむかえます。

つい先週は、同じくNHKの「歴史秘話ヒストリア」で、壇ノ浦の戦いなどについて特集してました。

 

「歴史秘話ヒストリア」を見ていて印象に残ったのは、源義経の戦い方の斬新さです。

当時は、ことに西国での戦いについては、平家軍は絶対優勢と見られていました。

また海戦については、平家軍の最も得意とするところでした。

ふつうに考えれば、少数の軍勢でこれに挑もうとする義経軍は圧倒的に不利です。

ところが、義経は、既存の常識を捨てた戦い方をすることにより、これに勝利したのです。

 

一つ例をあげます。

当時の海戦において、船を操縦する船頭は、武士ではなくふつうの一般人の役割でした。

なので、戦時においても、船頭を狙って攻撃するというのは、かなり卑怯なこととされていました。

これが当時の常識であり、暗黙のルールだったのです。

ですから、武士たちは相手の船に乗っている敵に対しては攻撃しても、あえて船頭を狙って弓を放つということはしなかったのです。

 

ところが、義経はあえてこのルールを破りました。

積極的に相手の船頭に対して攻撃するように指示したのです。

考えてみれば、海戦では、敵は船にのって攻撃してくるのですから、船頭さえ殺してしまえば、自由な動きを封じることができます。

船頭に対する攻撃は、戦術的にはとても理にかなったことだったのです。

 

人は誰でも何かに縛られていると思います。

ただ自分を縛っていると思ったものが、実際は本人の思い込みであったりすることもあります。

「今までみんなそうやってきた」というだけで、それが暗黙のルールと思い込んでしまうこともあります。

 

弁護士の業界でも、そのような暗黙のルールというものはあると思います。

裁判というのは、ある意味で戦です。

暗黙のルールと思っていたものが、従うべき実質を備えたものなのか否か。

これは時折よく考えてみる必要があります。

 

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