弁護士の髙田知己です。みなさん、ライプニッツ係数をご存知でしょうか。一般の方はあまり聞き覚えのない言葉だと思いますが、弁護士にとって交通事故の賠償請求をするときに重要な概念となります。
ライプニッツ係数とは、将来発生する損害、例えば介護費用や働いて得られるはずだった利益を、今貰う場合に減額することによって調整しようとするものです。具体的に考えてみましょう。まず、10年先に発生する損害である1万円を今請求するという場合を考えてください。もし利息が年に10%であれば、今1万円をもらうと10年後には利息が年間1000円10年で利息と合わせて総額2万円になってしまいます。運用を変えて複利にするとかするとさらに増額も見込めます。このように考えると将来もらえるはずのお金を今請求する場合には、少し少なめにしないといけませんよね。その調整のための計算方法がライプニッツ係数と呼ばれるものになります。
しかし、現在実務上使われているライプニッツ係数は被害者側にとても不利なものと私は考えています。銀行などに預けておけばとても高い金利のついた昭和の時代であればともかく、現在は銀行に預けてもほとんど利息はつきません。
現在のライプニッツ係数はどのようなものか具体的に考えてみます。
最初に10年間継続して発生する損害について考えます。1年間100万円の損害が発生するとした場合には、10年間で合計1000万円の損害が発生しますよね。では、ライプニッツ係数をかけるとどうなるでしょうか。
10年のライプニッツ係数は7.7217になります。なので、この場合には、約770万円となります。
しかし、これがバランスのとれた金額とお感じになるでしょうか。私には、そうは感じられません。
では、50年間損害が継続して発生する場合にはどうでしょうか。同じく年間100万円の損害が発生すると考えると、50年で5000万円の損害が発生します。50年のライプニッツ係数は18.2559です。この場合には、約1800万円となります。これは、バランスを欠くと考えざるを得ない数字ではないでしょうか。
この計算方法は現在定説といっても過言ではなくプロとしてはこれ以外の見解を主張することは著しく困難です。
このライプニッツ係数は、上記のように利息というものがあることを前提に考えていて、現在の係数はこの年利が5%であることを基礎に導かれています。来春の民法改正により民法上の利息が3パーセントになります。そのため、令和2年4月以降の事故においては新しいライプニッツ係数が適用されることになりそうです。
令和元年9月5日

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