弁護士の若林です。
第2回のテーマは、「取引先への支払い」です。
破産手続きを進めることが決まると、債務額を確定させるため、
まず、債権者への支払いを止めます。
この時、債権者に長年の取引先が含まれていたりすると、「長い付き合いがあるから・・・」と、一部の取引先にだけは払いたいという希望を告げられることがあります。
取引先にできるだけ迷惑をかけたくない
そんな心情からくる言葉だと思います。
ですが、破産手続きを取ると決めた以上、一般債権者である一部の取引先にだけ返済することはできません。
破産制度は、負債が多く全額返済できなくなってしまった債務者の生活再建を図るために負債の支払を免除するものです。
支払いを免除する代わりに、手続上は全債権者を平等に扱います。
ここでは、取引期間やこれまでの人間関係などは基本的に考慮されません。
もし、一部の取引先にだけ支払ってしまった場合、それは一部の取引先を優遇したことになるため支払った金額を取引先から返してもらわなければなりません。
そうなると、結局、取引先にも迷惑がかかるわけです。
良かれと思って取った行動が、法律上認められず、逆に迷惑をかけてしまう。
そんなことにならないよう、事前に専門家に相談することをお勧めします。