弁護士の若林です
相続の第1回目は「相続人は誰?」です。
相続が発生したら亡くなった方が残してくれた財産をどのように受け継ぐかを相続人みんなで決めなければなりませんね。
そもそも、誰が相続人になるのでしょう。
誰が相続人になるのかは法律でちゃんと定められています。法律から該当する部分を抜粋すると次のとおりです。
民法887条1項
被相続人の子は、相続人となる。
民法889条1項
次に掲げる者は、第887条の規定により相続人となるべき者がいない場合には、次に掲げる順序の順位に従って相続人となる。
1 被相続人の直系尊属。ただし、親等の異なるものの間ではその近い者を先にする。
2 被相続人の兄弟姉妹
民法890条
被相続人の配偶者は常に相続人となる。
文章だと今一つピンときませんね。
ここは国民的アイドル家族「サザエさん」でおなじみ「磯野家」に登場していただきましょう。
平成29年4月1日、大変残念なことに磯野波平氏が亡くなりました。
民法の規定からすると、波平氏の相続人は、波平さんの「配偶者」である舟さん、波平さんの「子」であるサザエさん、カツオくん、ワカメちゃんの4名となります。
ところで、サザエさんは、磯野家に同居はしていますが、マスオさんと結婚してフグタ姓になっていますよね。
この場合も波平さんの相続人になるのでしょうか。
実際、相談者の方から「嫁に行った娘は相続人ではないですよね?」という質問を受けることがよくあります。
結婚して苗字が変わったとしても、サザエさんが波平さんの「子」であることには変わりありません。
ですので、「フグタ」姓になっていてもサザエさんも相続人となります。
磯野家では波平さんの「子」が健在なので、波平さんのご両親や兄弟姉妹が相続人となることはありません。
さて、波平さんよりも先にサザエさんがなくなっていたらどうなるのでしょう?
この場合も民法に規定があります。
民法887条2項
被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき(中略)は、その者の子がこれを代襲して相続人となる。
つまり、サザエさんが波平さんより先に亡くなっていた場合は、サザエさんの「子」であるタラちゃんが相続人となります。
ちなみに、マスオさんは婿養子ではないため相続人ではありませんが、仮にマスオさんが波平さんの養子になっていたとすると、法律上「子」という立場になりますので、マスオさんも相続人となります。