Archive for the ‘未分類’ Category

相続第14回目「改正相続法の概要―遺産分割に関する見直し③」

2020-09-21

弁護士の若林です。

今回も預貯金の払戻し制度について説明していきます。

 

前回説明した平成28年最高裁判例により預貯金も遺産分割の対象とされたため、各金融機関は、相続人の一人からの法定相続分相当額の預金引き出し請求を認めない方針を強化しました。

その結果、相続人全員の同意が得られない場合、遺産分割が成立するまでの間は預貯金を引き出すことができず相続債務の支払いに充てることが困難となりました。

被相続人の預貯金が引き出せないことで、被相続人のお金で生計を立てていた相続人の生活費が捻出できない、相続人が葬儀費用を用意することができないというケースも生じるようになりました。

 

この不都合に対応するため創設されたのが「遺産分割前における預貯金の仮払い制度」です。

 

民法第909条の2

各共同相続人は、遺産に属する預貯金債権のうち相続開始の時の債権額の3分の1に第900条及び901条の規定により算定した当該共同相続人の相続分を乗じた額標準的な当面の必要生計費、平均的な葬式の費用の額その他の事情を勘案して預貯金債権の債務者ごとに法務省令で定める額を限度とする。)については、単独でその権利を行使することができる。この場合において、当該権利の行使をした預貯金債権については、当該共同相続人が遺産の一部分割によりこれを取得したものとみなす。

 

条文によると、相続人が単独で引き出せる金額の計算式は以下のとおりとなります。

 

相続開始時の預貯金債権の額 × 3分の1 × 払い出しを求める相続人の法定相続分

 

例えば、相続開始時に預貯金残高が900万円ある場合、被相続人の配偶者は150万円(900万円×3分の1×2分の1=150万円)を単独で引き出すことができます。

 

では、相続開始時の預金残高が9000万円あった場合、被相続人の配偶者は1500万円(9000万円×3分の1÷2分の1=1500万円)を単独で引き出すことができるのかというと、これはできません。

条文のかっこ書きに記載があるように、法務省令で引き出せる上限額が決められています。

法務省令で定める上限額は150万円です。

 

したがって、どんなに多額の預貯金がある方でも相続人が単独で引き出せる額は150万円までとなります。

 

少年事件について

2020-08-06

弁護士の大和田です。今日は少年事件についてお話しようと思います。

少年事件で審判(大人でいう裁判)が行われる場合、少年の処遇について警察官、検察官、鑑別所、調査官などが意見を述べます。弁護士も付添人として意見を述べます。それぞれ事前に意見書を提出するので、審判日までには全員の意見が出揃うことになります。

これらの意見のうち、調査官の意見は非常に重要です。調査官が少年院相当との意見を出した場合、それを覆すのはなかなか難しいという印象です。調査官は裁判所の職員で、少年や保護者と面談を重ね、付添人とも打ち合わせをしながら最終的な意見を述べますので、付添人として少年院が相当ではないと思われる事件では、調査官に対して少年が家に帰っても大丈夫だということを丁寧に説明していくことになります。

それでも、調査官から少年院が相当との意見が出てしまうこともあります。

担当した事件では、付添人だけが保護観察が相当との意見を述べ、警察官、検察官、鑑別所、調査官の全員が少年院が相当との意見だったことがありました。

なかなか難しい事件でしたが、審判の日ギリギリまで、少年が家に帰れた場合の監督の方法や仕事先などの調整を続けた結果、保護観察処分となりました。

最後まで調整を続けることの大切さを改めて実感した事件でした。

他にもこれまで多数の少年事件を扱ってきましたので、お子様が逮捕されてしまったなどお困りの際にはお気軽にご相談下さい。

相続第13回目「改正相続法の概要ー遺産分割に関する見直し②ー」

2020-07-13

 

弁護士の若林です。

遺産分割に関する見直しのうち、②遺産分割前における預貯金の仮払い制度の新設について触れていきます。

この制度が新設された経緯には平成28年12月19日の最高裁判例が大きく関係しています。

そのため、今回はこの最高裁について説明します。

 

《最高裁判例が出る前》

 

相続財産のうち、可分債権は相続と同時に分割されます。

そして、預貯金も可分債権として相続が発生すると当然に相続人が相続分に応じて取得するものとして扱われてきました。

例えば、夫婦、子供2人家族で、父が預金1000万円を残して亡くなったとします。この場合、父が亡くなったと同時に、母が500万円、子供たちが250万円ずつ相続したと扱われるわけです。

遺産分割を経る必要がないため、遺産分割調停・審判においては、全相続人の合意がない限り、相続財産の対象として扱うことができませんでした。

 

その結果、合意がない場合には預金は法定相続分で分けられることになり、生前贈与や特別受益といった事由が反映されず相続人間の実質的公平が確保できないことがありました。

 

《最高裁判例が出た後》

 

最高裁判例の事例は、配偶者のいない被相続人が亡くなり、2人の相続人が争った事案です。

被相続人の遺産として約258万円相当の不動産と4000万円以上の預貯金債権があったほか、相続人の一人が約5500万円の生前贈与を受けていたという事情がありました。

第一審や控訴審では、預貯金は合意がない限り遺産分割の対象とすることはできないとした上で、約5500万円の生前贈与を特別受益とし、その結果生前贈与を受けていた相続人の具体的相続分は0となり、他の相続人が不動産を取得すべきものと判断していました。

 

当事者からの抗告を受け、最高裁は、

遺産分割の仕組みが共同相続人間の実質的公平を図ることを旨とすることや、遺産分割手続きの実務上は、現金のように、評価についての不確定要素が少なく、具体的な遺産分割の方法を定めるに当たっての調整に資する財産を遺産分割の対象とすることに対する要請も広く存在することを指摘した上で、預貯金の法的性質について以下のように触れました。

「共同相続された普通預金債権、通常貯金債権及び定期貯金債権は、いずれも、相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはなく、遺産分割の対象となるものと解するのが相当である。」

つまり、相続人全員の合意の有無にかかわらず、預貯金債権も遺産分割の対象となると判断したのです。

 

 

頚椎損傷・脊髄損傷と車いすのクッション

2020-06-30

弁護士の高田です。ホームページの写真をみていただければわかると思いますが、私は、車いすに乗っています。十代のころに交通事故で脊髄損傷となりました。

そのため、普段の生活をする上で車いすのクッションは大切な道具です。特殊なクッションが無くては座位つまり座っていることすら難しいのです。

私たちが仕事で交通事故などにより頚椎や脊髄などを損傷された方の賠償金を請求をするときには、現在はもちろん将来使用するこの特殊なクッションの購入費用についても請求をします。

では、このクッションの耐用年数はどのくらいなのでしょうか。

まず、車いすの場合を考えてみます。耐用年数の考え方にもよりますが私は、車いすの場合は5年ないし6年程度と私は考えています。そこで、私はクッションについても車いすと同様に考えて5年ないし6年程度と考えるようにしています。

さて、個人的な話です。この特殊なクッションですが、状態や損傷部位によって色々なブランド・種類があります。私はこの特殊なクッションにROHOクッションというものをメインで使っています。私の記憶では、このクッションは20年以上前に輸入されるようになりました。当時一般的に使われていたクッションが1万円から2万円程度だったのに比べて10万円以上する大変高価なクッションだったことを覚えています。とても性能が良く欲しかったのですが、高価でもありなかなか手が出ませんでした。しかし、少しずつ値段が下がり、今では5万円から6万円で購入できるようになりました。まだまだ高価ではありますが、以前に比べるとずいぶんと手に入れやすくなっています。

このロホクッションは大変良いクッションなのですが、空気を入れて使用するクッションのため弱点としてはパンクがあります。先月(令和2年5月)に使用中のロホクッションがパンクしてしまいました。5、6年は使ったクッションですので、まあ、寿命ですね。すぐ新しいものを買いなおしました。ところで、私もそうなのですが、一般に車いすを常時使用する人は家の中と外で車いすを使い分けています。もちろん、仕事で賠償金を請求するときにも2台分請求しています。その外用、家用ですが、それぞれの車いすにクッションがついています。パンクしてしまったのは外用で使っていた車いすのクッションでした。

ところが、今月(令和2年6月)に入ってすぐに今度は家で使っているクッションがパンクしてしまいました。これは3年ほど前に購入したものでそれほど古いというわけではありません。

安くなったとはいえ、まだまだ5万円以上するクッションです。すぐに買うのは大変です。二つのパンクしてしまったクッションをよく調べてみると、古いほうのクッションはなんとか直すことができるかもしれないパンクでした。とりあえず、古いほうのクッションのパンクを修理して使うことにしました。

もうひとつのクッションのパンクは、修理が困難なところにあり、自身で修理することは難しいところです。有償で修理というのも検討しなければいけません。自転車のパンクとは異なり結構費用がかかります。

実際には、なかなか耐用年数どおりとはいかないようです。

令和2年6月30日

弁護士とフットワーク。

2020-03-23

弁護士の北村です。

世間は新型コロナウイルス一色で気が滅入ってきますが,気候は徐々に穏やかになり,気持ちのいい季節がやってきた感じがします。

さて,我々弁護士の業務スタイルは本当に人それぞれです。事務所で黙々と書面作成に勤しむのが好きな人もいれば,とにかく法廷に立つのが好きな人もいます。出張好きな人もいると思います。もちろん好きな業務ばかりしている訳には行きませんけれど。

私個人はと言えば,警察署やら現場やら官公庁やら外回りが好きで,フットワークの軽い弁護士を目指しています。。移動手段は自ずと自家用車になるので,パソコンワークや読書などはできませんが,移動中は音楽を聴いて気分転換を図ったり,事務所に戻って作成する書面の構想を練ったり,次の予定を立てたりしています。また,行った先々で美味しい飲食店を開拓するのも楽しみです。

寒すぎず暑すぎない今の時期は,外回りにも一番いい季節です。今年は花粉も少なめらしいですし。

新型コロナウィルス感染症対応について【事業者の方】

2020-03-16

3月16日現在、茨城県では感染者報告はありませんが、新型コロナウィルス感染症が収束する目途はいまだ立っておらず、かなり長期化する予測もでてきております。

外出自粛やイベントの中止等の感染拡大防止措置により、県内の事業者様への影響は少なからず出ているものと思います。また、現時点では影響を受けていなくても、長期化により今後影響が出る可能性もあります。

新型コロナウィルスの影響による経済活動の縮小、悪化は、地域経済から活力を奪う重大な事態であり、地元の弁護士として事業再建や悪化防止のために少しでもできることをしたいと考えております。

当事務所は、新型コロナウィルス感染症の影響でお困りの中小企業、小規模企業の方からのご相談を、初回無料で受け付けております。

当事務所がある土浦市だけでなく、つくば市や阿見町等県南周辺地域で事業をされている方もお困りごと等ございましたらご連絡ください。

 

相続人がいなかったら①

2020-03-09

弁護士の大和田です。

そもそも、相続人がいないというケースがあるのかという疑問もあるかと思いますが、このような相談も意外と多いです。核家族化、少子高齢化が進んでいる現代においては、今後さらに相談も増えてくるかもしれません。そこで、今回は、相続人がいない場合の遺産の処理についてご説明したいと思います。

例えば、友人が入院していて、身寄りがないため通帳などを預かっている中、その友人が亡くなってしまったような場合、その預貯金を勝手に処分するわけにはいきません。まずは、戸籍を調べて本当に相続人がいないのか調査する必要があります。

そして、相続人が戸籍上確認できない場合には、裁判所に相続財産管理人選任の申立てをすることになります。

相続財産管理人が選任されれば、財産を引き継ぎ、後は相続財産管理人が、その財産を清算するための手続きを取っていくことになります。

 相続財産管理人の申立ては一般の人でもできます。もっとも、相続人がいないことを確認するために沢山の戸籍を集めなければならないことが多く、一般の人が申立てをするのは思いのほか大変です。

 また、申立後に、特別縁故者の主張などをする場合には、裁判例の検討も必要なことがあります(特別縁故者とは何なのかについては、次回以降解説します。)。

 このように、相続人がいないケースでも弁護士などの専門家の力を必要とすることは意外と多いです。ご自身がそのような立場になった場合には、まずは、弁護士などの専門家に相談されてみてもよいかと思います。

令和2年スタート

2020-01-09

弁護士の北村です。

新元号になって最初の年明けとなりました。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

さて,一般企業や学校などでは4月が入社や入学の季節ですが,弁護士業界では,12月中旬頃と1月1日が最も伝統的かつポピュラーな新規登録の時期となっています。その理由は,法曹養成課程である司法修習の修了試験結果発表が12月中旬頃に行われるためです。かく言う私も,昨年12月に弁護士登録から満6年となりました。

時事ネタになりますが,最近日本の法曹や司法制度に対する世間の風が厳しくなっているよう思います。国内外から様々な変革を求められている令和の今,法律専門家としてのスキルと倫理観,そして人間としてのマインドをさらに磨いていかなければ,と身を引き締めています。

 

逮捕されそうになったら

2019-12-05

弁護士の大和田です。

今回は刑事事件における私選弁護人のメリット、デメリットについて解説致します。

弁護人には、自ら又は家族などが費用を負担して選任する私選弁護人と国選弁護人があります。

メリット1 いつでも選任できる

国選弁護人は、逮捕後に勾留された段階から選任が可能となります。これに対し、私選弁護人はいつでも選任することができます。逮捕されただけでは国選弁護人を選任することはできませんので、逮捕段階あるいはその逮捕される前から選任できるところに私選弁護人のメリットがあります。例えば、傷害事件など被害者のいる事件において、逮捕段階で私選弁護人を選任し、被害者と示談をして勾留(最長で20日間)を回避するというような対応も考えられます。

メリット2 自分で選べる

国選弁護人は選ぶことはできませんが、私選弁護人は選ぶことができます。国選弁護人と気が合わないという場合でも、違う国選弁護人を選任してもらうということは基本的にできません。弁護人にも様々なタイプがあり、刑事事件の経験も様々ですから、自分にあった弁護人を選ぶことができるというのはことのほか大きなメリットといえるでしょう。

メリット3 複数選任できる

国選弁護人の場合、裁判所の許可がなければ一人の弁護人で対応せざるを得ません。これに対し、私選弁護人であれば、自らの意思で複数の弁護人を選任可能です。当事務所では弁護士が6名おりますので、希望に合わせて複数の弁護人を選任できますし、複数選任したとしても費用は変わりません。刑事事件も様々な観点から考える必要がありますので、複数選任ができる点もメリットといえるでしょう。

デメリット 費用がかかる

これに対し、私選弁護人のデメリットは費用がかかることが挙げられます。経済的な余裕がない場合には、国選弁護人の選任を待つことになるでしょう。

小括

以上のように、経済的な負担があるということ以外は、私選弁護人を選任するメリットは大きいといえます。刑事事件でお困りの際には、お気軽にお問合せ下さい。

 

裁判IT化について

2019-11-07

弁護士の北村です。

 

社会のIT化,デジタル化が進んで久しいですが,裁判手続においては2019年現在でも濃いアナログ色が残っています。

裁判期日には,基本的には裁判所に出頭する必要があり,電話会議システムやテレビ会議システムが活用される場合は限定的です(弁護士としても,電話会議より直接出頭の方が優れているような感覚が染みついています)。

提出書類は,原本および副本ないし写しを,裁判所に持参もしくは郵送・FAXで提出するよりありません。また,基本的には書面への押印が必要です。手続に必要な収入印紙や郵券も,基本的には物納です(手続によっては電子納付ができますが,限定的です)。事件記録の管理をデジタル化している弁護士もかなり少数だと思います。社会で広まっているオンライン化,ペーパーレス化,電子署名化といったところは,まだまだ浸透していません(もちろん,法律上の権利義務にかかわるというセンシティブな世界であるため,紙媒体の原本が重視されることにも相応の理由があるわけですが)。

 

とはいえ,裁判手続IT化に向け,時代の要請は高まっているようです。現在,民事裁判手続における書面や証拠のオンライン提出システムの導入や,手続のウェブ会議システムの導入の方向で議論が進んでいます。具体的な制度設計については,これから明らかにされることと思います。

 

法律も手続も大変革の最中にあるといえますが,髙田知己法律事務所は,社会の最前線におけるニーズに応え続ける法律事務所を目指してまいります。そのためには,今後とも最新情報のフォローアップを続けていかなければ,ですね。

« Older Entries

トップへ戻る

電話番号リンク 問い合わせバナー