Archive for the ‘法律豆知識’ Category
茨城県土浦市の弁護士が解説~インターネット上の誹謗中傷について
弁護士の北村です。9月も半ばを過ぎ、少しづつ秋の足音が聞こえてきましたね。
今回のテーマは、インターネット上の誹謗中傷についてです。
近年、2ちゃんねる(5ちゃんねる)などの匿名掲示板や、X(旧ツイッター)などのSNS、個人ブログなど、インターネット上の誹謗中傷(名誉毀損など)について、メディアなどで取り上げられる機会が増えました。
インターネット上で誹謗中傷(名誉毀損など)をしてしまった場合、刑事および民事上の責任を負う可能性があります。このことは、今後全国民が知っておかなければならない基礎知識だと個人的には思います。
刑事責任:名誉毀損罪ないし侮辱罪、威力(偽計)業務妨害罪ないし信用毀損罪などに問われる可能性あります。
民事責任:損害賠償金の請求を受ける可能性があります。
民事上の損害賠償請求をするためには、まず相手方の身元を特定する必要があります。具体的には、当該投稿があったサイト管理者に対し、発信者のIPアドレス等情報の開示請求を行います。次いで、その結果に基づき、インターネットプロバイダ(ISP)に対し、契約者情報の開示請求を行います。
これらが「発信者情報開示請求」と呼ばれる手続です。いわばインターネット上の住所を特定する手続です。裁判手続(本案訴訟ないし仮処分)を行う必要があると考えてください。
発信者情報開示により相手方が特定できれば、その者に対して損害賠償請求(慰謝料、逸失利益、発信者情報開示請求の調査費用など)をしていくことになります。交渉で示談が成立することもあれば、民事訴訟になることもあります。投稿の動機、内容、頻度などの具体的事情によって、損害賠償義務を負うか否か、またその金額が大きく左右されます。
なお、初動段階において、当該投稿の証拠化(いわゆる魚拓)は必ず必要です。
また、被害の拡大を防ぐため、適切な時期に、サイト管理者に当該投稿の削除要請をすることも必要です。
以上の通り、インターネット上の誹謗中傷について法的に適切な対応を取るためには、非常に複雑な手続を順序立てて進めていく必要があります。
髙田知己法律事務所では、土浦市・つくば市を中心とする茨城県南地域で、誹謗中傷を受けてしまった方、誹謗中傷について法的請求を受けた方、いずれからのご相談も承っています。お悩みの方は、まず弁護士にご相談ください。
茨城県土浦市の弁護士が解説~民事訴訟の被告になったら
弁護士の北村です。お盆も明けましたが暑い日が続きますね。
今回のテーマは、「民事訴訟の被告になったら」です。
民事訴訟では、裁判を提起した人を「原告」、裁判を提起された相手方を「被告」と呼ぶルールがあります。
この被告という呼び方ですが、刑事事件で起訴された人の呼び方である「被告人」と酷似しています(メディア報道では刑事被告人のことも「被告」と呼称しています)。そのため、民事訴訟で被告にされたことで気分を害される方も少なくない印象です。
さて、民事訴訟の被告になったら、つまり民事訴訟を提起されてしまったら、どう対応すればよいでしょうか。
一番よくないのが放置です。欠席裁判により原告の言い分通りの判決が出されてしまいます。そうなれば、給与や預貯金などの差押えを受けるリスクがあります。
放置は駄目だとして、原告の言い分を真っ向から争うのか、原告の言い分を争いつつ和解解決を目指していくのか、あるいは原告の言い分を概ね認めて和解解決を目指していくのか…様々な方向性が考えられるところです。
何がベストの方向性かは、原告および被告の主張や証拠の内容、訴訟提起までの交渉経緯、ご本人のお考えなどにより、本当にケースバイケースです。逆に言えば、被告の立場で色々できることがあるともいえます。
民事訴訟を提起されてしまったら、どのように対応すればよいのか、とても不安になると思います。悩むより、なるべくお早めに弁護士にご相談ください。私たち茨城県土浦市の高田知己法律事務所が、裁判の見通しや解決の方向性など、一緒に考えさせていただきます。
弁護士とカバン
弁護士の北村です。梅雨も明け夏らしい日が続きますね。
今回は、弁護士とカバンについての小話です。
皆さんは、弁護士のカバンと言えばどんなイメージをお持ちでしょうか。もちろん、見た目や使い勝手の好みは人それぞれですが、個人的イメージでは、以下の種類をよく見かける印象です。
・ブリーフケース
ビジネスバッグの王道です。厚めの裁判記録などを持ち運ぶ機会があるため、軽くて丈夫なナイロン生地でマチ幅があるタイプが人気です。リュックにもなる3wayタイプも人気です。
・リュック
世間同様、ビジネスリュック派も近年増えてきました。茨城県では弁護士もほとんどが車移動ですが、重量物も背中で背負えるリュックは持ち歩きが楽です。
・ダレスバッグ
ドラマの弁護士がよく持っている(?)がま口のビジネスバッグです。見栄えはしますが重いです。私もキャメルカラーのダレスバッグを愛用しています。
・キャリーバッグ
大がかりな裁判記録を持ち運ぶ時に、大容量のソフトキャリーがあれば便利です。
・トートバッグ
いわゆるビジネストートも、見た目と取り回しのスタイリッシュさから根強い人気があります。サブバッグとしても便利です。
逮捕されてしまったら
弁護士の北村です。梅雨の足音を感じるじめじめした気候の日々ですね。
さて、今回のテーマは刑事事件です。もし、ご自身やご家族が刑事事件の被疑者として逮捕されてしまったら、どうすればよいでしょうか。
事件の内容など具体的事情によりますが、逮捕後すぐに釈放され家に帰れることもあります。
しかし、そうでない場合、①逮捕後48時間以内に警察から検察官に送致→②送致後24時間以内に検察官が勾留請求するか判断→③裁判所が勾留請求を認めた場合10日間の勾留(さらに10日を上限とする勾留延長の可能性あり)を経て、検察官が起訴・不起訴を判断する流れになります。すなわち、①~③で最大23日間の身柄拘束(いわゆる留置場生活)を送る可能性があります。もしそうなれば、仕事を失うなどの不利益は避けづらいでしょう。
よって、早期に身柄拘束を解放してもらうための活動が、弁護人にできる極めて重要な初動になってきます(もちろん、身柄解放が実現するか否かは、事件の内容など具体的事情によります)。
具体的には、②勾留決定前の段階であれば、検察官に対し、勾留を請求しないよう求めていくことになります。③勾留決定後の段階であれば、裁判所に対し、勾留請求を却下ないし取消すよう請求していくことになります。事件の軽重、事実を認めているか否か、身元引受人(ご家族など)の有無などの具体的事情から、逃亡のおそれや罪証隠滅のおそれがないことを主張します。
動き出しが早ければ早いほど、早期に家に帰れる可能性が高くなります。そして、国選弁護人が選任されるのは上記③勾留決定の段階であること、国選弁護人の選任手続に一定の時間がかかることなどからすると、私選弁護人を依頼した方が素早い初動が取れるケースは少なくないよう思います(誤解がないよう付け加えると、国選弁護人は動きが遅いという意味では決してありません)。
髙田知己法律事務所では、茨城県南地域(土浦市・つくば市など)で、ご家族が逮捕されてしまった方のご相談もお受けしております。まずはお問い合わせください。
相続第19回目「改正相続法の概要―相続の効力等に関する見直し―」
弁護士の若林です。
今回は、相続の効力等に関する見直しについて説明します。
例えば、父親Aが亡くなり、相続人が長男Xと次男Yの2人であったとします。
Aの相続財産としては自宅不動産しかなく、かつ、Aは生前「自宅は長男Xに相続させる」との遺言書を作成していました。
Xが遺言書に基づいて自宅不動産の登記を自分名義に変更する前に、Yが法定相続分で登記手続きをしてしまい、その後第三者Sに自分の持ち分(1/2)を譲渡、登記をしてしまったとします。
つまり、本来Xの単独所有として登記されるべきところが、XとSが2分の1ずつ共有する内容で登記されている状態です。
この場合、改正前は、Xは登記を備えたSに対して、自宅不動産の所有権(全部)を主張することができました。
他方、Aが遺言書を作成しておらず、XとYが話し合い、自宅不動産をXが単独で相続する遺産分割協議をしていた場合で、その後YがSに持ち分(1/2)を譲渡、移転登記してしまった場合はどうでしょうか。
この場合、改正前は、Xは登記を備えていないため、YからSに対して自宅不動産の所有権(全部)を主張することができませんでした。
このように、法改正前、Xが登記を備えたSに対して所有権(全部)を主張できるかどうかは、AのXに相続させる旨の遺言の有無によって変わります。
ですが、通常、第三者は亡くなった人がどのような内容の遺言書を残していたのかを知ることは困難です。
それなのに、遺言の有無・内容によって権利関係が変わってしまうのは、第三者の利益を害することになりますし、登記制度や強制執行制度の信頼を害するおそれもあります。
そこで、改正法では、相続させる旨の遺言についても、法定相続分を超える部分については、登記等の対抗要件を備えなければ第三者に対抗することができないとしました。
弁護士の夏休み
弁護士の北村です。
働き方の多様性が叫ばれる昨今,弁護士の勤務形態も多様化していますが,こと茨城県では伝統的な個人事業主の形態を取る弁護士が多いように思います。
そんな弁護士たちがどんな夏休みを過ごすかは,まさに人それぞれです。長期休暇を取って旅行に出る人もいると聞きます。逆に,仕事の整理に勤しむ弁護士もいると聞きます。
因みに当事務所では,お盆を含めて決まった夏休み期間はなく,暦通りの営業です。各弁護士が各々のタイミングで休暇を取得しています。
私自身は,例年ならば連休を取って普段行けない国内遠方への旅行に行っていましたが,昨年に引き続き今年も難しそうですね。
新型コロナウイルスとこれに伴う様々な法律問題が早期に収束しますように。
相続第18回目「改正相続法の概要―遺留分制度に関する見直し―」
弁護士の若林です。
今回は、遺留分制度に関する見直しについて説明します。
遺留分とは、一定の相続人が相続に際して取得することを法律上保障されている相続財産の割合をいいます。
相続人の一人にすべてを相続させる内容の遺言書があった場合でも他の相続人に一部を相続させることになるのは、この遺留分があるからです。
遺留分の請求はすべての相続人に認められるわけではなく、権利主張ができるのは①直系卑属(子ども)②直系尊属(両親)③配偶者に限定され、また、各人の遺留分の割合も法律で定められています。
兄弟姉妹には遺留分はありません。
遺留分を請求することを遺留分減殺請求(いりゅうぶんげんさいせいきゅう)というのですが、相続法改正前は、遺留分減殺請求を行使すると当然に物権的効果が発生すると規定されていました。
たとえば、相続財産が不動産しかなかった場合に遺留分減殺請求を行使すると、不動産が当然に共有状態になるということです。
共有状態になると処分や利用に制限がかかりますから、相続財産の活用に支障がでることが往々にしてありました。特に会社の事業承継がスムーズに進められないという支障が出ていました。
このような支障を解消するため、改正相続法は、遺留分減殺請求権の行使として遺留分侵害額に相当する金銭の支払いを請求することができると改められました。(1046条1項)
また、遺留分減殺請求を受けた人がすぐに金銭を用意できない場合に、裁判所に対して、金銭の全部又は一部の支払について相当の期限の許与を求めることができるとされました。(1047条5項)
原告側?被告側?
弁護士の北村です。
さて,訴訟手続においては,法律の規定に則り,訴えを起こした当事者を「原告」,訴えを起こされた当事者を「被告」と呼んでいます。
因みに,調停手続においては,それぞれ「申立人」「相手方」と呼びます。
この「被告」という呼称ですが,刑事裁判を受けている人の呼称である「被告人」と非常に似ているため,一般の方は「被告」と呼ばれることをとても嫌がると聞きます。将来的には呼称を変えることも検討に値するのかもしれません。
私たち弁護士が原告側,被告側いずれの代理人に就くかは,まさにケースバイケースです。もっとも,例えば保険会社の顧問弁護士であれば多くの場合被告側,労働組合系の弁護士であれば多くの場合原告側,といった傾向はあるかもしれません。
弁護士として,原告側,被告側どちらの方がやりやすいかと言うと,これまたケースバイケースです。その理由は,多くの場合,原告側において証拠から必要な事実を証明しなければ原告の請求は認められない,とされているためです。このような裁判手続のルールを「立証責任」といいます(説明の便宜上かなり端折っていますが)。立証責任を考慮しながら裁判の見通しを予測していくことは,原告側,被告側いずれの場合も非常に重要となります。
という訳で,高田知己法律事務所では,これから裁判手続を起こしたいと考えている方のみならず,裁判手続を起こされて,つまり被告となってお困りの方のご相談もお受けしております。まずはお問い合わせください。
相続第17回目「改正相続法の概要―遺言制度に関する見直し―」
弁護士の若林です。
今回は、遺言制度に関する見直しのうち遺言執行者について説明します。
遺言執行者とは、遺言の内容を実現するために必要な手続きを行う者をいいます。
改正相続法では遺言執行者の権限・責務、地位がより明確になりました。
改正相続法第1012条
1 遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。
2・3 略
第1015条
遺言執行者がその権限内において遺言執行者であることを示してした行為は、相続人に対して直接にその効力を生ずる。
上記2条から、遺言の内容が相続人の不利益となるときでも、遺言執行者は遺言の内容を実現する行為を行えばよいことが読み取れます。
また、改正相続法では、遺言執行者が就任した場合にはそのことを相続人に通知する必要があることも明文化されました。
改正相続法第1007条2項
2 遺言執行者は、その任務を開始したときは、遅滞なく、遺言の内容を相続人に通知しなければならない。
さらに、遺産分割法の指定があったときの共同相続人への対抗要件を備えさせる権限や、預貯金債権の払い戻し・解約の権限などが新設されたほか、遺言執行者がいつでも復代理人を選任できるなど復任権の見直しもなされました。
交通事故と後遺障害認定について。
弁護士の北村です。
髙田知己法律事務所では,開所以来交通事故案件に特に力を入れており,これまでに数多くの案件を解決してきました。
交通事故案件で大きなポイントとなるのは,後遺障害認定が下りるか否かです。後遺障害認定が下りれば,等級に応じた後遺障害慰謝料や,年収をベースに算出される後遺障害逸失利益を請求できることになりますが,非該当であればそれらの請求はできません。
特に見通しが難しいのは,いわゆるむち打ち症,すなわち他覚所見のない神経症状において,後遺障害(主に14級)が認定されるか否かです。私自身もこれまで多くの案件を取り扱ってきましたが,事前予測と逆の結果(いい意味でも悪い意味でも)となることが少なくない印象です。
後遺障害認定が下りるか否かお悩みの方は,ぜひご相談ください。交通事故案件の経験豊富な弁護士が,事案に応じたアドバイスを行います。
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