交通事故で負傷し、その療養のために休業したことによって生じた収入の損害がある場合には、これを損害として賠償請求をすることができます。
お給料をもらっている方の場合には、原則として事故前の現実の収入金額から算出した金額及び休業日数を用いて算出します。このとき、被害者の方が、有給休暇を使った場合には、現実には収入の減少はありませんが、減少があったものと考えて請求するのが一般的です。
事業者の場合には、休業損害の検討は複雑な場合が多いです。事業を営んでいる被害者の事故によって受けた傷害やその療養が、被害者の営む事業にどのような影響を与えたかにより個別具体的に判断されます。
学生や失業者など事故前に具体的な収入がない方の場合には、休業損害が認められないのが原則です。もちろん、個別的に休業損害が認められる場合もあります。
では、専業主婦の方はどうでしょうか。学生さんなどと同じように具体的収入がないという点に着目すれば、専業主婦の方も休業損害はないといえそうです。しかし、過去の裁判例は、専業主婦の方の休業損害を認めています。収入のある主婦の方でも、主婦としての休業損害を請求したほうが良い場合もあります。さらに、男性の方であっても、いわゆる主夫の方であれば主婦の休業損害と同様にみるべきですし、ご高齢で奥さんの介護をしてらっしゃる男性の方などでもこのような休業損害が認められる余地があるでしょう。