弁護士の程塚です。
多くの方が、時効の問題、つまり、持ってる権利がいつまで請求できるかを、
あまり意識していないように感じられます。
お金を貸したので返してもらう権利、物を壊されたので弁償してもらう権利、
働いたので給料をもらう権利、工事をしたから代金を受け取る権利・・・
など、誰かにお金や物を請求するには、権利にもとづかなければなりません。
(そもそも権利にもとづかない請求は、裁判をやっても得られません。)
ただ、その権利も、いつまでも行使できるものではありません。
「自分は被害を受けたのだから・・・しっかり働いたのだから・・・
だから、何年たっても、払ってもらえるはずだ。」
という理屈は、世の中では通らないのです。
「それは理不尽だ!正義に反する!我慢していたのに泣きを見るのはおかしい!」
と思われるかもしれません。
ですが、請求される側も、一生、いつ請求されるかわかならい不安定な状態に
置かれるのは不利益が大きいですし、
権利があるのかどうか、払ったのかどうかといった証拠を、何十年もとっておきなさい、
というのも負担が大きいのです。
自分が、支払う側の立場になってみると、むしろ時効は、理にかなった制度だということが分かります。
例えば、電気代や、車の修理代などは、後払いのことが多いですが、
その領収書を、一生保存しておかなければ、
10年以上も先に請求された時に、証拠がなくて負けてしまう、というのでは大変です。
時効という制度があるからこそ、払ったという証拠を捨ててしまっていても、支払いを拒めるのです。
とはいえ、支払ってもらえないうちに、時効になって受け取れなくなってしまっては、
損であることには間違いありません。
そのためには、権利の行使は、早めにやることが大切です。
時効の期間も、早いものでは1年(料理店の飲食料など)というものがあります。
自分の権利を守るのは、自分だけです。
支払いに不安を感じたら、早めに弁護士に相談し、訴訟などの検討をすべきでしょう。