弁護士の高田です。前回に続いて、相続について考えてみたいと思います。
相続は、多くの人にとって、何度か発生することのある法律上の問題です。この際、不動産や預貯金など、積極的な財産が相続されるだけなら良いのですが、借金や義務などが相続されることもあり、注意して当たる必要のある事柄です。
相続は、民法上、①単純承認、②相続の放棄、③限定承認の三つの種類があります。
今日は、③限定承認について、説明したいと思います。
限定承認とは、相続人は、相続によって得た財産の限度においてのみ被相続人の債務等を弁済すべきことを留保して、相続の承認をすることです(民法第922条)。
条文上の表現だとわかりにくいですが、つまり、限定承認をすると、相続で取得する財産で被相続人の借金等をすべて支払って残りがあればこれを相続できるが、相続で取得する財産を超えて借金等が残ってしまえば、これについては責任を負わなくて良いということです。
被相続人と同居している場合であれば、被相続人がどの程度の財産を持っていて、借金がどの程度あるかわかることが多いでしょうから、単純相続や相続放棄で対応ができると思います。しかし、被相続人と生前に疎遠である場合などは、被相続人がどの程度の財産や債務を負っているかわからない場合が多いでしょう。このような場合には、考えても良い制度の一つだと思います。